ショートショート・星新一(故人)

星新一、印象深い作品。

 海難事故に遭遇する新米新聞記者の話しがあるんですが、たまたま取材で行った豪華客船(またはフェリー)が沈没、他の新聞記者は取材でTVカメラや写真を撮っているですが、新米新聞記者は、写真を写そうと悩むんですが、結局、カメラを置いて海に入って溺れている人を助けるんです。
 スクープ記事を取れなくて、へとへとになって、もう仕事を辞める覚悟で新聞社へ戻ると、先輩が「よくやった」と彼がを労い、次の日の新聞には1面が白い抜き記事。何も書いてない。「この記事を誇りに思う」 そんなことを先輩が言ったと思う――読んでて泣きました。ほんとに短いショートなんだけど……

 星新一のショートには、こういう作品が潜んでます。

 火星に流刑で連れてこられる人の話も、印象深いです。一つの玉を渡されます。ボタンを押すと水が出てくる。ただ、いつかは、そのボタンで玉は爆発する。それは、次のボタンかもしれないし、30年先かもしれない。誰にもわからない。死の恐怖に怯えながら、喉の乾きにボタンを押す。火星の砂漠には、ところどころに大穴が空いているのに、彼は気付く。流刑された人の爆発跡、一度爆発しているから大丈夫だとジンクスを踏み何度かボタンを押し水を出すのだが、ある爆発跡に、二重の爆発跡を見付ける。同じようにジンクスを考えた人が、そこで――しばらく、ボタンを押さずにいた彼だが、『普通の人生もまた、このボタンのように先はわからないものだ。同じだ』 そう考え、火星での廃墟へと向い、風呂場入りでボタンを押し水をためていく。――最後は、白い光りに包まれて。
 これも、泣けました。

 星新一の持つまなざしが好きでした。ショートは、なにも文学と呼ばれるものより、軽く低いものではありません。心に深く刻まれるのには、名作だろうが、ショートだろうが関係ない。

 たぶん、自分が一番多く読んだのは、星新一だな……(^^ゞ
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by bluesketch | 2004-09-06 11:12 | 書籍・漫画

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